スリランカのストーリー
Storyー from Sri Lanka

教育こそが未来を変える唯一の道

チェタナ(スリランカの元チャイルド)

私はスリランカのプッタラム県で育ったチェタナです。4人家族の長女として生まれましたが、小さい頃から生活はとても厳しく、家族は家計のやりくりにいつも苦労していました。父は農業をしていましたが、収入は収穫期にしかなく、さらには、紛争や野生のゾウによる被害で、作物がだめになってしまうことも多く、安定した収入を得るのはとても大変でした。それでも私は、教育こそが未来を変え、家族を救う唯一の道と信じ、勉強をあきらめませんでした。

私の村では、都会の学校のような教育は受けられませんでした。先生の多くは臨時講師で、経験が浅く、教え方も分かりにくいことが多かったです。図書室もなく、教室の設備も整っていませんでした。そんな中、私は「もっと広い世界を知りたい」「外国語、特に日本語を学んでみたい」という夢をもつようになりました。でも、村には外国語を学ぶ十分な環境はなく、教材も手に入りません。それでも、学び続けることが未来を切り開くと信じ、その気持ちが私を支えてくれました。

2006年、私の人生に転機が訪れました。チャイルド・ファンドのスポンサーシップ・プログラムのチャイルドになれたのです。この支援によって、就学前の栄養補助、学費や学用品、課外活動など、多くの支援を受けることができました。中でも、私のスポンサーさんが日本の方で、その方の支えは、私がそれまで想像もできなかったほどに生活を変えてくれました。スポンサーさんの応援の言葉も、私にとってとても大きな励ましでした。

日本語の勉強は簡単ではありませんでしたが、日本への強い思いが自分自身の支えでした。自分で教材を探し、毎日少しずつ勉強をしました。スポンサーさんの優しさや日本の文化にふれ、ますます日本への関心が深まりました。

そして2019年、チャイルド・ファンドの支援のおかげで、全国統一試験(GCE- Oレベル)でとても良い成績をおさめることができ、大学に進学することができたのです!大学では日本語を含む様々な分野について学び、知識をさらに広げました。

また、チャイルド・ファンドのアントレプレナーシップ研修(起業家研修)にも参加しました。そこでは、バティック(スリランカの伝統的な染め物)など、様々な知識やスキルを得ることができました。ものづくりの楽しさを知り、自分でも何かを始めたいという気持ちが強くなったのです。

やがて、私は日本のホテル業界での仕事に応募し、見事採用されることになりました!ずっと思い描いていた日本で働くという夢が、ついに現実になった瞬間でした。

浅草寺を訪れたチェタナ。「日本の豊かで美しい文化を感じました」と話します。

私の夢はそれだけではありません。いつかスリランカに戻って、自分のレストランを開きたいと思っています。私のように限られたチャンスしかもたない若者たちに、仕事を提供したいのです。レストランを開くというのは、私にとって、単なるビジネスではありません。私を支えてくださった方々への恩返しなのです。日本とスリランカ、両方の文化が息づく、あたたかい場所にしたいと思っています。

今、私はかつて夢見ることしかできなかった日本で、新しい一歩を踏み出しています。教育を受けることすら難しかった女の子が、今では日本で働く若者に成長しました。家族の支え、チャイルド・ファンド、そしてスポンサーさんの支援があったからこそ、ここまで来ることができました。支えてくださった皆さんには、一生分の感謝を伝えたいと思っています。

そして、私はこれから、誰かの未来を支える存在になりたいと思っています。かつて私が支えてもらったように。

 

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