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少数民族などの子どもの未来を開く 子どもにやさしい学校づくりプロジェクト 第2期

チャイルド・ファンド・ジャパンでは、日本NGO連携無償資金協力と皆さまからのご支援をもとに、ネパールのゴルカ郡にて「子どもにやさしい学校づくりプロジェクト」の第2期をスタートしました。このプロジェクトでは、昨年度のプロジェクトを引き継ぎつつ、同じゴルカ郡の別の地区において校舎建設および学校の教育能力向上を行っていきます。

第1期で完成した校舎

ネパールの首都カトマンズから150km離れた場所に位置するゴルカ郡。奥地へ行くほど道路は整備されておらず、雨期になると道はぬかるみ、建設資材の輸送も滞りやすくなるエリアです。人口の約65%がダリット(ネパールに存在するカースト制度に属さない、不可触民とされる人々)や少数民族、先住民族など、社会的に脆弱な立場にいる人々で、多くの人が小規模農業や日雇いの肉体労働などに従事しています。

第2期で支援する学校は全部で4校。そのうちの一つの中等学校には235名の生徒が在籍していますが、約60%がダリット、19%が先住民族、21%が少数民族という構成です。2019年にすでに主要校舎を建設していますが、近隣に他の学校が少ないことや、同校が教育指導の質において地区内でも優秀であると自治体に評価されたこと等から、年々生徒数は増えています。既に1教室の規定人数を越えて生徒が在籍しており、それでも主要校舎で学ぶことができない生徒は、耐震強度基準を満たしておらず、2015年のネパール大地震で破損が見られる危険な校舎で学習しています。チャイルド・ファンド・ジャパンはこの度、こうした子どもたちに安全な学習環境を提供するため、同校の新校舎建設を支援することとしました。

現在の学校の全体の様子

基礎教育の修了率の低さというのも、第2期の支援地域の教育に関する課題の一つとなっています。2020年のネパール政府調査によると、ゴルカ郡における中等学校の退学率は全体で14.2%であるのに対し、今回の支援地域は19.5%となっています(男子21.2%、女子18.2%)。さらに、今回校舎建設を行う中等学校については、地理的要因による通学の困難さ、成績不振といった理由の他に、早期婚や農業従事等を理由に毎年全校生徒のうち約3~5%が退学をしています。このような状況の背景には、経済的理由の他に、保護者の教育への理解の欠如、公立学校の教育の質の低さなど、様々な要因が複雑に交差しています。

そこでチャイルド・ファンド・ジャパンは、建設事業の他に、支援対象校4校へ「子どもにやさしい学校」研修も提供していきます。

「子どもにやさしい学校」は、第1期にも実施した学校づくりのコンセプトです。子どもたちが安全かつ健全な学習環境の中で、自らの力を伸ばすことができる学校をつくり、また、カーストや民族、性別、障がいといった様々な違いによって差別されることなく、教育を受けることができる環境をつくっていきます。

第1期もこのコンセプトのもと研修を実施したところ、「自分もダリットの出身で、子どものときは学校の先生に差別的な言葉を使われることもあり苦しんだ。この研修は非常に有意義なもので、事業終了後もぜひ自分たちの自治体で継続したい」と打ち明けてくれた自治体の職員もいました。その後、実際にその自治体は、事業継続のために自ら予算を取り付けるに至りました。

第1期で行った教員への研修の様子

このように、第1期の事業では、教員や学校運営委員会、PTA(保護者会)に対し、子どもにやさしい学校づくりのために必要な知識を提供するとともに、自治体や学校の主体意識を醸成し、事業終了後も彼らが自立して取り組みを継続していく姿を見届けることができました。第2期もこうした第1期の成果を引き継ぎ、校舎建設と学校の教育能力向上というハード、ソフトの両面からの支援を行い、子どもの教育環境を整えていきます。そして、社会的に不利な立場にある子どもたちの可能性をさらに広げていくために、事業を継続していきます。

子どもにやさしい学校をつくり、子どもたちの学習環境を整えるために、このプロジェクトにご協力くださいますよう、心よりお願い申しあげます。

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子どもにやさしい学校づくりプロジェクト

事業概要 このプロジェクトは、ゴルカ郡のダリットや少数民族、先住民族など、社会的に不利な立場の人たちが多く住む地域において、手洗い場やトイレを備えた校舎1棟を建設し、子どもの学習環境を整備します。また、4校において教職員への能力向上研修を行い、保護者や自治体への働きかけも行うことで、地域一体で子どもにやさしい学校を目指します。
支援対象 ネパール ゴルカ郡における公立校(小学校・中学校)4校に通う生徒、教員、学校運営員会、PTAのメンバー
協力団体 UNG(Unification Nepal Gorkha:ゴルカ郡で教育支援や衛生事業を行う現地NGO)
助成 日本NGO連携無償資金協力