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【ネパール大地震】私が見てきたネパールの今

【動画】暖かい日には、教室を出て授業をすることもあります



ネパール大地震の発生から8ヵ月が過ぎた2015年12月に、冬のネパールを訪問しました。訪れたシンドゥパルチョーク郡は大地震で大きな被害があり、チャイルド・ファンド・ジャパンが緊急・復興支援を行ってきた地域です。私が見てきた「ネパールの今」をご報告いたします。 (チャイルド・ファンド・ジャパン 小保方珠実)

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【とにかく寒い】

訪問した12月は、日本と同じ寒い季節でした。支援地域の標高は約2,000m、気温は日中20度近くまで上がりますが、午後3時を過ぎると急に寒くなり、夜になると零下になります。私も寒さを覚悟して機能性の高い防寒具を持参しましたが、予想以上に寒く、寝るときはダウンジャケットを重ね着し、寝袋も使ったうえで布団に入らないと眠れませんでした。
この厳しい環境の中、隙間風の入る、木の板やトタン板を組み合わせただけでつくった仮設住宅で子どもたちは暮らしています。
朝起きたら毛布に霜がおりているんだよ、信じられる?前は地震で死ぬかと思っていたけど、今はこの寒さで死にそうだよ
道端で出会ったおばあちゃんの言葉です。

自力でなんとか作った仮設住宅。屋根が飛ばないよう重石をのせます。後方に写っているのは崩れたままの住宅自力でなんとか作った仮設住宅。屋根が飛ばないよう重石をのせます。
後方に写っているのは崩れたままの住宅。

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【明るく見える子どもたち】

皆さまからのご支援によって建設された、仮設校舎の学校を訪ねました。仮設校舎は学年ごとに教室が分かれていますが、トタン板で仕切られているため、隣のクラスの声が筒抜けです。でも子どもたちは慣れたもの。
「隣のクラスに負けないぞ!」とばかりに大きな声で音読したり、歌を歌ったりします。
トタン板の屋根から水滴が垂れてくることもありますが、そんなの気にしない!子どもたちは元気に勉強しています。
昼間は日差しも強く、数少ない窓からも光が入り、教科書の文字も読めます。学ぶ環境はまだ十分には整っていませんが、子どもたちが明るく元気に学んでいる様子を見て、私は一安心しました。
しかし、先生にインタビューすると「子どもたちは、いまだにいつ余震が来るのかばかり気にして、授業に集中できていない。また、地震のショックからかボーっとしている子も多い」とのこと。一見明るく見える子どもたちの中に、地震による「恐怖」はまだまだ残っていました。

仮設教室の窓から笑顔をみせる子どもたち仮設教室の窓から笑顔をみせる子どもたち

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【お休みの日も、ぼくは学校に行きたい】

地震により、ほとんどの子どもたちが家を失い、厳しい寒さのなか、仮設住宅で家族は身を寄せ合って暮らしています。「家は失ったけど、働いてなんとかがんばるよ」と、笑いながら話すお父さんもいましたが、地震で最愛の息子を失い、仕事が手につかなくなってしまったお父さんもいました。物を失うだけでなく、大切な人を失った家庭は、いまだ失意のどん底にあり、残された子どもたちにもつらい環境でした。
お休みの日も、ぼくは学校に行きたい
兄を失った小学5年生の男の子の言葉です。
お母さんによると、男の子は毎朝8時半に家を出て学校に向かうそうです。学校までは歩いて30分、朝礼は10時開始なので、ずいぶん早く家を出ます。
友だちと遊びながらのんびり歩いているのよ、きっと」とお母さん。
家族の自慢だった長男を失い、暗い雰囲気になってしまった家に居場所を見つけるのが難しいから、早く出ているように私は感じました。遊びや学びを通して、辛い記憶に楽しい記憶を積み重ねることができる学校は、子どもたちにとって、こころの拠り所になっているようでした。

仲良しグループでまとまって登校する子どもたち仲良しグループで登校する子どもたち。
皆さまからのご寄付で支給したリュックを背負っています。

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【こころの支えが必要】

学校では明るい表情を見せる一方、家庭では「これから先どうなるの?」と不安を口にし、眠れない夜が続いている子どもたち。
チャイルド・ファンド・ジャパンは、4月からこの地域でスポンサーシップ・プログラムを開始します。学習環境を整え、子どもたちの身長や体重も記録し、こころのケアもおこないます。支援により子どもたちの抱える「不安」を少しずつ取り除いていきます。日本のスポンサーさんからの「エール」は、子どもたちのこころの大きな、大きな支えとなるでしょう。

家庭訪問し、子どもたちにインタビューしている様子。(右が筆者)お父さんを亡くしお母さんと2人で暮らしている女の子は不安ばかり口にします
家庭訪問し、子どもたちにインタビューしている様子(右が筆者)。
お父さんを亡くし、お母さんと2人で暮らしている女の子は不安ばかり口にします。

badge01_180x180 blank スポンサーシップ・プログラムは子どもを1対1で支援するプログラムです。毎月4,000円で一人の子どもを支援し、子どもから届くお手紙や成長記録を通して、支援の成果を実感することができます。

 

ネパールでの支援を強化・拡大するため、
4月より新しい支援地域においてスポンサーシップ・プログラムを開始いたします。
ご予約も受け付けていますので、ぜひともご検討くださいますよう、
こころよりお願い申しあげます。
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