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OSECに関するシンポジウムを開催しました!  

9月28日(水)、青山学院大学にて、OSEC(子どもへのオンライン性搾取)に関するシンポジウムを開催しました。ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。

冒頭では、全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC)ヴァイス・プレジデントのステイサ・シーハンさんより、基調講演として、OSECの被害の現状などを解説していただきました。「センターに通報される画像や動画の数は年々増加し、2021年は2100万件以上にのぼった」「人身売買などの様々な犯罪がオンライン化してきており、特にコロナ禍において、画像や動画による搾取は増加している」「画像や動画は世界中に拡散されコントロールできなくなってしまう。被害にあった人は『どうすることもできない』という無力感にさいなまれてしまう。」といったお話をいただきました。

続くパネルディスカッションでは4名の方に登壇いただきました。

特定非営利活動法人ぱっぷす(ポルノ被害と性暴力を考える会) 相談員 内田絵梨さんからは、特にグルーミング*について解説していただきました。「加害者は子どもの信頼を得るために徹底的に子どもの味方になる」、「性的な行動をあくまで子どもに『お願い』し、いかにして子どもにその行動をさせるかという、攻略ゲームを行っている 」、「加害者は性的な画像を送らせること などに対する罪の意識が薄く、相手がやりたくてやっているといった認識でいる」。こうした実態を詳しく解説いただきました。
*子どもに接近して信頼を得て、孤立感などを利用して関係性をコントロールする行為

一般社団法人インターネットコンテンツセーフティ協会(ICSA)代表理事の立石聡明さんからは、児童ポルノのブロッキングの取り組みについて解説いただきました。ブロッキングとは、特定のサイトや画像などへのアクセスを遮断する技術のこと。ブロッキングは通信の秘密を侵害する行為であるものの、児童の人権を守ることとどちらが重要であるかを考え、ブロッキングの取り組みを進めている、といったお話を聞かせていただきました。

スウェーデンの「子どもへの商業的性搾取をなくすためのオンブズマン(OKSE)」 代表ガブリエラ・シェーネクル・ウォルフさんからは、スウェーデンの取り組みを紹介していただきました。スウェーデンでは、世界的にも一早く買春禁止法が制定され、近年も子どもの権利条約の国内法化などの取り組みが進められています。一方で、スウェーデンにおいても、いまだ搾取を完全になくすことはできておらず、これからも子どもたちや大人に教育をしていくこと、オンブズマンのような立場の人が声をあげていくことが重要だと、ウォルフさんは訴えました。

4人目の小田佳祐氏は、これまでチャイルド・ファンド・ジャパンと一緒にOSECをなくす取り組みを進めてくれた青山学院大学の学生です。国際法や子どもの権利条約において、どのように子どもの性搾取が示されているか解説してもらいました。

このように、各分野の専門家の方から、OSECについての様々な側面を解説いただきました。参加者の方々からも多くの質問やご意見をいただき、短い時間ではありましたが、非常に有意義なシンポジウムとすることができました。

また、シンポジウムの2日後には、子どもの搾取の問題に取り組む行政の実務者の方などを対象とした、実務者懇談会も開催しました。こちらの懇談会では、ステイサ・シーハンさん、ガブリエラ・シェーネクル・ウォルフさんが、アメリカ、スウェーデンの取り組みについてより詳しくお話し、今後の日本の政策・取り組みに直結する内容をご紹介いただきました。

日本においては2022年6月に子ども家庭庁関連法案が成立し、子どもの権利を守るための取り組み・制度が進展しつつありますが、インターネットやスマートフォンの急速な普及によって、問題は深刻さを増しています。チャイルド・ファンド・ジャパンでは、これからもこうしたアドボカシー活動を通じて、子どもが守られる社会づくりを行っていきます。