チャイルド・ファンド・ジャパン

最新ニュース

みんなで守る 子どもの権利プロジェクト

チャイルド・ファンド・ジャパンは、2014年から9年間にわたり、フィリピンで「みんなで守る 子どもの権利プロジェクト」を実施しています。暴力や性搾取から子どもを守るため、子どもたちに対して子どもの権利についてのワークショップを行ったり、啓発活動を子どもたちが企画したりしてきました。また、子どもたちだけでなく保護者や地域住民の意識を変えるための活動やワークショップも行ってきました。コロナ禍には、正しい手の洗い方の習慣を促進する活動やアルコール消毒液の配布、ワクチンの接種を促す支援も行いました。

子どもたちが作成した、手洗いの方法を説明するポスター(左)、オンライン性搾取に関する教材を配布(右)

これまでのプロジェクトの成果や知見を生かしながら、2024年度は、フィリピン南部のミンダナオ島にある南ラナオ州において、子どもたちの教育の権利を守るための支援活動を行います。

南ラナオ州は、2017年にフィリピン軍と過激派組織との間で、激しい武力紛争が起こった地域です。「マラウィの戦い」と呼ばれるこの紛争は、約5ヵ月間続き、なくなった方も1,100人以上にのぼります。今回のプロジェクトの支援地域は、この紛争から逃れたたくさんの市民や被災者を受け入れる避難場所となりました。2024年現在も、紛争の爪痕が残り、水道設備の修復工事、また、農業に従事している被災者には農業資材の支給など、以前の生活を取り戻すための支援が、現地の団体によって続けられています。

家庭の経済的な状況も深刻な問題の一つです。フィリピンメディアによると、南ラナオ州の貧困率は71.9%と非常に高く、一般家庭の66.3%が貧困世帯となっています。教育へのアクセスも問題で、例えば、小学校に通っていない子どもの割合は15%で、約7人に1人が通っていません。また、入学した子どもが最終学年まで残る割合は39%と極めて低くなっています。

こうした中、大きな課題の一つになっているのが、義務教育への就学につながる幼児教育です。今回のプロジェクトの支援対象となっている幼児教育施設は、4歳から6歳の子ども115人が通う、自治体からも認定を受けた施設ですが、校舎や教室がありません。現在は、近隣の学校が休みのときにだけ、場所を借りて活動を行っているのです。人やもののリソースも不足しており、ボランティアの先生と学用品を提供してくれる家族からのサポートによって何とか成り立っています。

授業がない日に近隣の学校に場所を借りて活動をしている様子

ユニセフは、少なくとも1年間の就学前教育を受けたことがある子どもは、学校で必要なスキルを発達させ、留年、中退の可能性を減少させるとしています。この幼児教育施設においても、これまでに、ボランティアなどによる活動を続けたことで、子どもたちが義務教育の開始に向けて必要なスキルを身に付け、健やかに成長することができています。しかし、教室もない現在の教育環境は深刻であり、適切な教育環境の整備が急務です。

ボランティア教師(左)、インターネットからダウンロードできる教材を使って授業を行います(右)

チャイルド・ファンド・ジャパンは、こうした状況を受け、現地の団体と連携し、この幼児教育施設において、子どもたちの学ぶ権利を守るため、学習環境の整備支援を行います。具体的には、以下のような支援活動を行います。

・幼児期の子どもたちのための学校の建設(2教室/1階建て)
・トイレ(2か所)、手洗い場、水飲み場の建設    
・建物までの通路の建設、排水設備の建設
・いす、黒板、テーブル、キャビネット、備品などの支給・設置

また、地域の保護者や行政担当との連携会議、設備の授与式などを通して、地域住民の参加を促し、プロジェクト終了後も建設した設備が持続的に活用されるようにしていきます。

今回のプロジェクトで取り組む幼児教育は、義務教育に進む前の準備期間として、スムーズに環境に慣れ、学校を無事に卒業するための土台として極めて重要なものです。また、紛争によって厳しい環境に置かれた人々にとって、子どもたちの教育は貧困から抜け出すための希望です。

皆さま、本プロジェクトをご支援いただき、
子どもたちの未来を支えてくださいますよう、お願いいたします。

このプロジェクトに寄付する

*チャイルド・ファンド・ジャパンは「認定NPO法人」として認定されており、寄付金控除が可能です。

みんなで守る 子どもの権利プロジェクト

事業概要    子どもを中心に、保護者や地域住民、行政など地域全体で、教育、衛生、暴力からの子どもの保護など、子どもの権利が守られる地域をつくるプロジェクトです。2024年度は、義務教育前の子どもたちへの教育と保育を拡充し、教育の権利を守ることを目的に、トイレ・手洗い場が付いた教育施設の建設を行い、学習環境を整備します。また、保護者や教育関係者、地域住民と連携し、持続的に活動が継続する体制をつくります。
支援対象 フィリピンの支援地域の子どもたちや地域の人々
(2024年度は、南ラナオ州の4~6歳の子どもたちとその家族や教師、地域の人々など約 5,400人)
協力団体 チャイルド・ファンド・ジャパンの支援地域の協力団体
(2024年度は、Ecosystems Work for Essential Benefits (ECOWEB), Inc.(南ラナオ州を拠点に、貧困、気候変動などの社会問題に取り組む現地NGO))