ネパールで進めている「子どもを守るコミュニティ形成プロジェクト」。歴史的、社会的、経済的に不利な状況に置かれてきた先住民族やダリットなどのコミュニティを対象に、コミュニティの人々とともに教育を中心とした子どもの健全な成長を支える環境づくりを進めています。スポンサーシップ・プログラムを学習環境の面で補完する形で、子どもたちの教育の質の向上を支えています。
2025年度は、ダーディン郡において、学校の学習環境を総合的に改善するため、安全な飲料水へのアクセス改善、理科・数学教室や図書室の整備などを行いました。
ダーディン郡にある公立校3校で、校内に飲料水供給システムを整備しました。合計99名の児童(男子48名、女子51名)と7名の教員が支援対象となり、校内で安全な飲料水を安定的に利用できるようになりました。子どもたちがいつでも安全な水を利用できることは、健康や衛生状態の向上につながるだけでなく、安心して学校生活を送り、学習に集中できる環境づくりにも貢献しています。

さらに、別の公立校では、理科室と数学(算数)教室を整備しました。理科室には54種類の実験器具・薬品、数学教室には97種類の教材・教具を提供し、理科・数学の授業で実験や実践活動を取り入れられる環境を整えました。これらの設備は、児童・生徒が実際の器具や教材を活用しながら学習できるよう整備されたもので、理科・数学教育に必要な学習環境の充実を図るものです。現在、この学校では475名の児童・生徒(女子245名、男子230名)が学んでおり、特に6年生以上の児童・生徒が主な利用対象となっています。

また、ある公立校1校で、既存の教室を改装し、図書室を整備しました。本棚や低い机、カーペット、座布団、浄水器などを設置し、子どもたちが快適に読書や学習に取り組める空間を整えました。また、1,731冊にわたる蔵書を配備するとともに、蔵書管理用のパソコンを提供し、担当教師2名に図書管理研修を実施しました。整備後は図書の貸し出しも始まり、子どもたちが本を家庭へ持ち帰って読む機会が生まれるなど、読書習慣の定着につながっています。
図書室は生徒・教職員だけでなく、文学や一般教養、農業、畜産などに関する本を通して地域住民も利用できる学びの場として活用されています。また、図書室で管理される蔵書はパソコンを活用して貸出・返却状況を記録・管理しており、学校内で継続的に運営できる体制づくりも進められています。

これらの取り組みを通じて、子どもたちが安全で学びやすい学校環境の中で、読書や実験、体験学習を通じて主体的に学ぶ機会が広がりました。教育環境の整備に加え、学校と地域が協力しながら教育を支える基盤づくりを進めることで、子どもたちの健やかな成長と学びの質の向上を後押ししています。