Relay Interview リレー対談 国際協力の基本は受益者を支え、エンパワーすること。しかし、遠く離れた、社会経済環境も違う世界での支えは。日本の人々にはなかなか実感がわかない。身近なスポーツの世界から「支える」姿を伝えて啓発できるかもしれない。スポーツ対談を通して、当団体も生かし生かされる国際協力も見つめ直せるかもしれない。スポーツをするプレイヤーを支える人々に商店を当てた対談により、支えることの大切さとスポーツの力・価値を浮き彫りにする。

第5回 熊谷 正寿さん

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GUEST

GMOインターネット株式会社代表取締役会長兼社長・グループ代表

熊谷 正寿さん

1963年、長野県生まれ。1991年、株式会社ボイスメディア(現・GMOインターネット)を設立、代表取締役就任。1999年に「独立系インターネットベンチャー」として国内初の株式上場。現在は、東証一部上場のGMOインターネットを中心に、上場企業9社を含むグループ111社、パートナー6,000名超を率いる(2019年6月末現在)。「すべての人にインターネット」を合言葉に、インターネットインフラ事業、インターネット広告・メディア事業、インターネット金融事業、仮想通貨事業を展開。2018年7月にはネット銀行事業も開始した。
詳しいプロフィールはこちらからご覧ください。

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INTERVIEWER

チャイルド・ファンド・ジャパン事務局長

武田 勝彦

中学時代のベトナム難民との出会いが転機となり、国際支援の道を目指す。金融機関での勤務経験や英国大学院留学を経て、いくつかの国際NGOにて、世界各地での開発支援事業や緊急復興支援事業の運営管理、事業部長や事務局長を歴任。2017年4月より現職。

今回は、ウェブサイトの制作やポイントの寄付などでチャイルド・ファンド・ジャパンの活動を支えてくださる、GMOインターネット株式会社代表取締役会長兼社長・グループ代表の熊谷正寿様をお迎えしての対談です。GMOインターネットグループを率いる経営者として、スポーツ選手の支援にも取り組まれています。

果たせなかった夢を次世代の育成に

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武田)学生時代にスポーツをされていたとのことですが、どのような種目でしょうか。

熊谷)運動部に所属することはありませんでしたが、バスケットボール、弓道、水泳、サイクリング、スキー、ダイビングなどを楽しみました。20歳の頃に人生の夢を書き出し、具体的な目標を立てたのですが、その目標を達成するためには健康を維持することが大切だと考えました。それから毎日ジムに通い、運動を続けています。私はスポーツを通して健康を維持していますので、「スポーツは欠くことができないもの」だと思っています。健康でないと夢が叶えられませんからね。

武田)様々なスポーツを経験されている熊谷さんが今、スポーツ選手を支えていらっしゃいます。特に陸上競技と競泳を企業としてサポートされていらっしゃいますが、その理由は何かありますか。

熊谷)私自身がトライアスロンで優勝するのを夢に掲げた頃がありましたが、この夢だけは残念ながら叶いませんでした。私の夢を次の世代に託そうと思い、トライアスロンの「走る」と「泳ぐ」を支えようと思うようになりました。そして世界に通用するNo.1アスリートの育成を目的に「GMOアスリーツ」を創部しました。また、東京オリンピック2020の水泳日本代表オフィシャルパートナー(競泳トップパートナー)として、競泳日本代表選手を応援しています。

武田)「GMOアスリーツ」についてもう少し詳しく教えてください。

熊谷)社会人陸上部をつくるため、3年前に「GMOアスリーツ」を創部しました。プロと同じくスポーツを生業とした実業団です。選手たちが夢を叶える姿を見せることで、人々が夢を描くきっかけになればと、そういう想いを込めて設立しました。だから選手には「勝ってほしい」と期待しています。選手それぞれが夢と希望を叶えることで、支える私たちの夢と希望になってほしいと思っています。
「GMOアスリーツ」2019年度ムービー

やるからには1番を目指す

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熊谷)ビジネスでもスポーツでも「やるからには1番を目指す」のが私の信念です。だから、練習環境も応援体制も1番でないといけません。チームの仲間に加わってもらう場合は選手本人だけでなくご家族にも会い、私たちの想いを伝えます。もちろん応援にも行きます。今年9月15日(日)に2020年東京オリンピック男女マラソン日本代表選手選考レース「マラソン・グランド・チャンピオンシップ(MGC)」が行われます。GMOアスリーツからは橋本崚選手、一色恭志選手の2名が出場します。また、10月に開催される世界陸上の日本代表として山岸宏貴選手が出場します。

武田)代表自らが応援団として選手を支えている様子が熊谷さんのお話からよくわかります。熊谷さんにとって、どのような時に支えることの喜びを感じられますか。

熊谷)選手が成長していく様子を間近で見られるのは何よりも嬉しいことです。社会人陸上部を運営する企業の代表として、1番のサポーターでありたいと思っています。来年1月1日(水・祝)に開催される第64回全日本実業団対抗駅伝競走大会(ニューイヤー駅伝)に初出場し、初優勝を目指します。1番を目指して走る選手を応援するため、パートナー(社員)を中心に1,000名規模で応援できるよう、GMOグッズを作ったりして、応援体制を整えるなど、今準備を進めているところです。

武田)競泳日本代表のスポンサーについても教えてください。

熊谷)グループ会社のGMOクリック証券株式会社が、今年も水泳日本代表オフィシャルパートナーになりました。オフィシャルパートナーの中でもトップのパートナーとなって代表選手を全力で応援していきたいと思っています。

パートナーを支える代表であり続けるために

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熊谷)選手も含めグループ内のパートナー(社員)それぞれが最大限の力を発揮できる環境を整えるのが、私の仕事だと思っています。11月には第二本社ができます。いくつかにわかれていたグループ会社を1ヵ所に集め、さらに良いパフォーマンスを出すことができるようにしたいと思っています。9月から1月まで、GMOインターネットグループは勢いをつけていきます。

武田)口に出したことがなかなか実現できない経営者もいる中、有言実行の熊谷さんは素晴らしいと思いました。熊谷さんにエンパワーされた方がたくさんいらっしゃるでしょうね。

国際協力の支える

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武田)最高のパフォーマンスを出すために環境を整え、準備を行うのはスポーツもビジネスも同じですね。国際協力でもそれは同じです。厳しい状況にある子どもたちをエンパワーして、彼らの社会環境を整えることに私たちは力を注いでいます。GMOインターネットグループの皆さまには2009年からチャイルド・ファンド・ジャパンの活動を支えてくださっています。ご寄付だけでなく、ITプロの社員皆さまが技術面でも協力してくださることは、私たちが目指す社会に進む一助となる、大変力強いサポートです。改めて御礼を申しあげます。

夢を叶えるためにスポーツ

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武田)最後に、スポーツに対する想いをお聞かせいただけますか。

熊谷)今の私があるのは、20歳の時に夢を持ち、それを叶えるために努力してきた結果です。しかし、それはスポーツがあったから実現できたことでもあります。 夢をかなえるためには健康でなくてはなりません。そして、健康を維持するためには、十分な睡眠、バランスのとれた栄養、適度な運動、定期的な健康診断、ポジティブ思考が欠かせません。この中で運動とポジティブ思考は、スポーツから得ることができます。スポーツもビジネスも継続は力なり。良い習慣を身につけることが素晴らしい人生を切り拓いていくことだと信じています。自分の夢を叶えるために、また夢に向かって進む仲間たちを支える代表であり続けるためにも、運動は続けていきたいと思っています。


(対談後の所感) あるべき姿を高い目標を持つ熊谷さんのポリシーが「やるからには1番でないと」という言葉に表れているように思いました。選手を支える応援団にもそれは言えることで、ご自身が実践されているところに共感しました。途上国などで厳しい状況にある子どもたちの社会環境、彼らを支える日本の支援者の支援環境、我々はこの2つの環境整備にもっと努力が必要と思いました。