南コタバト州における多民族共生を目指した平和教育及び教育環境整備事業
チャイルド・ファンド・ジャパンは、外務省の日本NGO連携無償資金協力の支援を受け、フィリピン南部ミンダナオ島・南コタバト州において、平和教育と教育環境の整備を通じた、多民族共生推進事業を実施します。
相互理解の不足と老朽化した過密な学習環境
今回の事業地は、少数民族ブラアン族、イスラム教徒、キリスト教徒など、さまざまな民族・宗教的背景を持つ人々が暮らす農村地域です。近隣の山間部では、現在も過激派組織と政府軍との間で紛争が続いており、こうした社会的背景は、特に教育現場において、生徒同士の関係性や教育環境に大きな影響を及ぼしています。地域の学校では、宗教や少数民族固有の文化や風習を揶揄する嫌がらせが複数報告されており、深刻な課題として認識されています。
本事業の対象校である公立中高一貫校には、約1,600名の生徒が在籍しています。しかし、校舎の老朽化が深刻で、使用できない教室や雨漏りのある教室も残されており、1教室あたり約48名という過密な環境で授業が行われています。
また、トイレや手洗い場も不足しており、生徒にとって安心・安全で衛生的な学習環境とは言い難い状況です。
教育環境の整備と平和教育を一体で
こうした状況を改善するため、本事業では、フィリピン教育省の基準を満たした新校舎1棟(2教室)と、トイレ2基、そして手洗い場の建設を行います。明るく安全な教室と衛生施設を整えることで、生徒が集中して学べる学習環境を整備します。

さらに、ハード面の整備と並行して、平和教育および多文化共生教育を実施します。
高校生を対象に、平和教育・紛争解決をテーマにした研修を実施し、対話を通じて相互理解を深める力を育みます。研修後には、生徒自身が主体となって、ピア・ティーチング(生徒が別の生徒を指導)やスポーツなどを通じたチーム・ビルディング活動を行い、学んだことを実践につなげていきます。
さらに、教職員を対象にした研修も行い、多様な背景を持つ生徒に配慮した教育方法や、平和・多文化共生を促す授業づくりについて学びます。教職員が共通の理解を持つことで、学校全体に「違いを尊重する文化」を根付かせていくことを目指します。
導入会議を開催し、事業が本格スタート
4月23日には、チャイルド・ファンド・ジャパンと対象校、及びパートナー団体合同の第1回導入会議を実施し、対象校の校長や教員、また教育委員会関係者に事業の概要を説明しました。

チャイルド・ファンド・ジャパンは、地域や学校、行政と協力しながら、教育環境の整備と人づくりの両面から、持続的な平和の土台づくりに取り組んでいきます。


