チャイルド・ファンド・ジャパン

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南ダバオ州の山間に住む少数民族の保健医療アクセス改善事業

チャイルド・ファンド・ジャパンは、日本NGO連携無償資金協力の支援を受け、フィリピン南部ミンダナオ島の山間部に暮らす少数民族の人々を対象に、保健医療へのアクセス改善を目指す事業を実施しています。

事業を行う地域では、病院や保健センターが、住民の暮らす地域の近くにない上、そこまでの道も未舗装の悪路となっているため、下痢や発熱といった日常的な症状を含め、病気の治療や予防を適切なタイミングで行うことが困難となっています。妊娠・出産に関しても課題は深刻で、妊婦に緊急の事態が起こったときにも、山道をバイクで1時間以上かけて病院へ搬送する必要があり、母親と赤ちゃんの命が危険にさらされる場面もあります。さらに、医療資格を持たない伝統的産婆の立ち会いによる自宅出産が、今も慣習として残っていることも大きな課題です。こうした慣習が残る背景には、住民の医療や健康に関する正しい知識が十分に行き渡っていないことも要因にあります。

このような課題に対し、本事業は、地域の中に「バランガイ・ヘルス・ステーション(BHS)」と呼ばれる一次保健医療施設を建設します。施設には、診察室、治療室、分娩室、医療機材などを整備し、助産施設として機能するようにしていきます。また、フィリピン政府の基準を満たすことで、国民健康保険制度(PhilHealth)が利用できる施設として運営できるようにし、住民が経済的な不安なく医療を受けられる環境を整えます。さらに、患者や妊産婦がより大きな病院へ移動する際などに活用できる車両も配備します。

バランガイ・ヘルス・ステーションの建設地
建設予定のヘルスステーションの外観

施設の建設と並行して、ソフト面での活動にも力を入れます。行政職員や保健ワーカー、少数民族のリーダーを対象に、地域で医療体制を支えていくための研修を行います。また、若者や母親を対象に、栄養や衛生、母子の健康、インターネットの安全な使い方など、日々の生活に役立つ健康教育を実施します。学んだ知識を自分や家族を守る行動につなげられるよう、参加型の研修を行っていきます。

地元行政の少数民族代表らと事業について会議を行う様子

この事業を通して、地域の人々が医療サービスをいつでも受けられるようにするとともに、妊産婦が安心して出産できる環境を整えます。また、住民が健康や衛生に対する知識を得て、自ら健康を守ろうとする行動が広がることや、十代の妊娠の予防にもつなげていきます。

地域の人々と信頼関係を築きながら、ハードとソフトの両面から支えることで、将来にわたって持続する地域保健の仕組みをつくっていきます。