ネパール「子どもにやさしい学校づくりプロジェクト」3年次の活動が完了しました!

皆さまからの温かいご支援と、外務省の日本NGO連携無償資金協力により、チャイルド・ファンド・ジャパンは、ネパールのゴルカ郡で3年間にわたり、「子どもにやさしい学校づくりプロジェクト」を実施してきました。先日、3年次の活動も終了し、本プロジェクトは無事に完了しました。
プロジェクトでは、子どもたちが安心して学べる環境を整えるため、校舎や関連施設の整備を行いました。耐震性の高い8教室の校舎を建設するとともに、いつでもきれいな水が飲める給水施設2カ所なども整備しました。この学校に通う135人の子どもたちが、安全安心な校舎で学ぶことができるようになりました。
また、地震や洪水などの災害が多い地域で、子どもたち自身が自分の命を守れるよう、避難訓練も実施。子どもと先生あわせて785名が参加し、いざという時に必要な知識と行動を身につけました。

プロジェクトのもう一つの柱は、教育の質を高める取り組みです。効果的な授業づくりのため、24名の先生を対象に「子どもを中心とした学び」をテーマとした研修を行いました。研修前後のテストでは、先生たちの理解度が平均で41%向上(研修前44%→研修後85%)という明確な成果が見られました。先生たちは工夫を重ね、240種類の手づくり教材と24本の指導案を自作。歌やゲーム、物語を取り入れた授業で子どもたちの意欲と笑顔を引き出し、積極的に参加するいきいきとした学びの場が広がりました。学校運営委員や保護者も研修に参加し、「子どもにやさしい学校づくり」の考えが学校全体に根づき、子どもの学びを支える体制が強化されました。

プロジェクトで大切にしたことの一つとして、子どもたち自身の「参加」があります。子どもクラブを通して、子どもたちは自分の権利や保護のあり方を学び、声をあげ、行動するようになりました。たとえば、小学生は「子どもにやさしい学校づくり」をテーマに絵画やダンスを、中高生は「子どもの権利」をテーマにクイズ大会やスピーチコンテストを実施。児童婚やジェンダーに基づく暴力、ジャンクフードの害を訴える演劇にも取り組みました。これらのイベントには子どもや教師を合わせて804名が参加。企画から運営までやり遂げた子どもクラブのメンバーはリーダーとして大きく成長し、「これからも自分たちの力で啓発イベントを企画したい」と語ってくれました。子ども自身が動かす啓発活動は、地域全体に新しい風をもたらしています。

女の子が安心して通学を続けられる環境づくりも重要なテーマでした。月経に関する正しい知識を伝え、衛生用品(Dignity Kit)の配布も行いました。あわせて保護者にも教育の重要性を伝え、家庭からも子どもの就学を支える意識づくりを進めました。保護者・教師・子どもたちの良好な関係が育ち、学びの成果にもつながっています。
こうした取り組みの結果、生徒の出席率が向上。自治体と連携した学校での定期検診や栄養・衛生教育により病気による欠席が減ったこと、欠席が続く子どもの状況に早く気づけるよう注意を払ったことも背景にあります。子どもたちが休まず登校できるようになり、授業への参加意欲が高まり、学校全体の学習環境もより良い方向へと変化しました。

プロジェクトを通じて、子どもたちが安心して学べる環境が整っただけでなく、地域住民や保護者、教師が協力し、持続的に子どもの学びを支える基盤を築くことができました。皆さまの温かいご支援が、社会的に不利な立場にある子どもたちの可能性を広げる大きな力となりました。これまでご支援くださった皆さまに心より感謝申し上げます。
チャイルド・ファンド・ジャパンは、今後も子どもたちが安心して学べる未来をつくるため、支援と活動を続けてまいります。