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「WEB Safe&Wise」~アライアンス全体で子どもたちをオンラインでの危険から守ります~

チャイルド・ファンドは、子どもたちを取り巻くデジタルやオンラインの危険に対処し、子どもたちや若者が洗練された「デジタル市民」になることができるよう、「WEB Safe&Wise」の取り組みを立ち上げます。

この数十年で、子どもたちを取り巻く環境は大きく変化しました。生きる権利、様々な機会を得る権利、守られる権利をはじめ、自身の生活にかかわる問題に対して声を上げる権利など、進展が見られたものが多くあります。

こうした改善の要因は様々ありますが、そのうちの一つはデジタル環境の発展でしょう。デジタル機器やオンライン環境の発展によって、子どもたちは様々な情報や学習教材を手に入れることができるようになり、社会的な活動に関わる機会も大幅にひろがりました。しかし、その一方、急速なデジタル技術の発展は、子どもたちの安全や成長を脅かす側面もあります。

今ではインターネットユーザーの約3人に1人が18歳以下の子どもで※1、毎日20万人以上の子どもたちがあらたにインターネットに接続し、800万人が活発にSNSを使用しています※2

一方で、30ヵ国を対象とした報告では、若者の3分の1以上がオンラインでの誹謗中傷や嫌がらせの被害を受けたことがあり、5人に1人はそれを理由に学校を休んでいます※3。また、世界中で常時約75万人の人々が、性的な目的で子どもたちとオンラインでの接触をもとうとしていると推定されています※4

オンラインでの危険から子どもたちや若者を守るための法律や政策は、世界的に不十分であり、また、国によって対応が大きく異なります。こうした状況は、子どもたちが本来インターネットから得られるはずの利益を奪い、子どもたちをオンラインに潜む様々な危険にさらしてしまうことになります。

チャイルド・ファンド・アライアンスは、2022~2025年度の中期戦略「Working Together to Address Emerging Threats to Children’s Safety(子どもたちの安全を脅かす新たな脅威に対処するため、ともに協力し合って活動する)」の一環として、「WEB Safe&Wise」の取り組みを立ち上げました。この取り組みでは、子どもたちを取り巻くオンラインでの危険に対処することに力を入れるとともに、子どもたちや若者がオンラインでの様々な危険から自分を守る手段を身に着け、オンラインサービスを有効に活用できるような「デジタル市民」としての能力を備えることを目指し、活動していきます。

子どもたちとともによりよいデジタル社会をつくる

子どもたちはだれでも、オンラインでの危険から守られる権利をもっています。チャイルド・ファンドは、政府、企業、地域社会、家族が行動を起こすことを促し、どんな子どもでも簡単にアクセスでき、安全で、だれもが受け入れられるようなデジタル社会づくりに取り組んでいきます。そのために、「WEB Safe&Wise」の活動では、以下の2つの成果を求めていきます。

・オンラインの性搾取・性暴力から子どもたちを守るための法律や政策が、より強化されること
・子どもたちが、健全な成長過程において、安全に、倫理的に、責任をもってオンラインでの様々な活動へ参加することができるような、デジタル市民としての能力を身に着けること

これらの目標を達成するため、チャイルド・ファンドは、子どもの保護の強化、デジタルスキルの向上、市民としての権利の向上を目指し、数項目にわたる政策提言を策定しました。

また、この一連の取り組みの中で、私たちは、政府機関、デジタル関連企業やデジタル産業のリーダー、そして、こうした取り組みを推し進める市民社会と一緒に活動していきます。

チャイルド・ファンド・ジャパンはこれまでに、日本国内のOSEC(子どもへのオンライン性搾取)の問題に取り組み、署名活動やイベントを通した啓発などを行ってきました。また、OSECの問題が深刻であるフィリピンにおいては、子どもたちへオンラインの危険性を伝える研修などを行ってきています。

今後もこうした取り組みを継続するとともに、「WEB Safe&Wise」の活動を通してアライアンスのメンバー団体とも連携し、この問題に取り組んでいきます。

※1 UNICEF Office of Research – Innocenti
※2 Global Partnership and Fund to End Violence Against Children
※3 UNICEF
※4 FBI