チャイルド・ファンド・ジャパン

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外国にルーツをもつ子どもたちへの支援について

チャイルド・ファンド・ジャパンは、「すべての子どもに開かれた未来を」というビジョンのもと、子どもたちへの支援活動を45年以上にわたり続けてきています。フィリピン、ネパール、スリランカにおいて貧困の中で暮らす子どもたちと地域への支援を行うとともに、日本においてもOSEC(子どもへのオンライン性搾取)をなくすための取り組みなど、子どもたちを守るための活動を続けています。

ネパールでの学用品の支給の様子
OSECをなくすための要望書を野田聖子議員に提出

こうした活動を長期にわたって続ける中で、社会情勢は大きく変化し、日本における状況も以前とは大きく変わってきました。その一つが、日本における在住外国人の増加です。

例えば、チャイルド・ファンド・ジャパンが事務所を置く東京都杉並区について見てみると、在住外国人の人数は10年前の約1.5倍に。特に、ネパール人の人数は約4.5倍に急増しています。

これにともない、日本で暮らす、外国にルーツをもつ子どもたちも増えています。日本の公立学校の教室でも、そうした子どもたちを見かけることは珍しくなくなりました。多様性や国際化が叫ばれる中、教育現場に様々な子どもたちが在籍することは、教育的に価値のあることと言えるかもしれません。

しかし、外国にルーツをもつ子どもたちは、学校生活において様々な困難に直面しています。

私たちチャイルド・ファンド・ジャパンは、当事者である子どもたちに話を聞く機会を得ることができました。そこでは、「日本語がわからなくて、教科の授業についていけない」と勉強についていく難しさを訴える子、「進路の悩みがあっても、先生や周りの子にうまく話せない。」と、悩みを相談することができない苦しさを明かしてくれた子など、様々な話を聞くことができました。「日本の季節の行事にとまどうことがある」と、日本文化になじむことの難しさを話してくれた子もいます。

「学びたい」「友だちと楽しく学校生活を送りたい」。その思いは強くあっても、言語、文化の壁が、その思いの実現を困難なものにしてしまっているのです。

(こうした状況に、行政も日本語補習を実施するなどの対策を行っていますが、学校における個別対応にはやはり限界があります。)

さらに、杉並区においては、コロナ禍がこの状況に拍車をかけました。杉並区には、授業が英語やネパール語で行われる、ネパール政府公認のエベレスト・インターナショナルスクール・ジャパンという学校があります。ネパールにルーツをもつ子どもたちも多く通っていましたが、コロナ禍による家計のひっ迫から、公立校へ転校せざるを得なくなった子どもたちもいるのです。

チャイルド・ファンド・ジャパンは、これまでにネパールを含むアジアの子どもたちの支援を長期にわたり続けてきただけでなく、杉並区においては「杉並区民の手でネパールに学校を!」キャンペーンを10年以上続けてきています。こうした活動によって、アジアの文化や制度、慣習への深い理解と、区内の関係各所とのネットワークを得ることができました。

キャンペーンや外務省の支援によって建設された学校の子どもたち

こうした団体の歴史と強みをふまえ、チャイルド・ファンド・ジャパンは、外国にルーツをもつ子どもたちの抱える課題を解決することを目指し、杉並区を拠点に、学習支援を開始することとしました。具体的には、補習教室「学びのフレンドリースペース」を開催し、学習ボランティアの方々の協力を得ながら、子どもたちが授業でついていけなかったところの補習、宿題のサポートなどを行っていきます。

また、日本語の読み書きが難しい保護者に対しても、学校だよりを読むサポート、子どもたちの教育に関する悩みを聴く支援なども行います。

人口減少の続く日本において、外国人の方々は日本の経済、社会を支える存在でもあります。チャイルド・ファンド・ジャパンは、ミッションとして「生かし生かされる国際協力」を掲げており、お互いに支えあう、そうした活動の在り方を大切にしています。

私たちは、団体のビジョン・ミッションをあらためて見つめなおし、そして、団体の強みを生かしつつ、外国にルーツをもつ子どもたちへの支援を行ってまいります。皆さま、どうぞご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。