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オンライン学習会開催 ~ フィリピン、ネパールが抱える子どもの権利の課題 ~

先日、フィリピン、ネパールの現地事務所と東京事務所をオンラインでつなぎ、現地スタッフによる学習会を開催しました。今回はその内容をお伝えします。

フィリピンにおけるオンラインでの子どもの性的搾取



フィリピン事務所のテーマは「オンラインでの子どもの性的搾取」。英語では「Online Sexual Exploitation of Children」といい、頭文字をとって「OSEC(オセック)」と呼びます。

フィリピンでは以前からこの問題が深刻となっていて、2018年には年間で60万件を超える子どもの写真や動画がオンライン上で公開・販売されていたといわれています。また、2020年のOSECの件数は、このコロナ禍で状況が悪化し、2019年の3倍にまで増加しています。(いずれもフィリピン司法省の発表より)

フィリピンでこの問題が深刻となっている背景には、次のようなことあげられます。
・貧困層にとっての収入源になってしまっている
・インターネット接続の料金やスマートフォンの価格(特に中古の価格)が安い
・送金システムが整っており、容易に送金できる
・英語が話せるため、加害者が被害者とコミュニケーションをとりやすい
・保護者の知識が不足している

こうした状況に対し、行政も取り組みを進めています。例えば、法律を改正し、OSECを個別の犯罪として位置づける動きや、学校で作成する「子どもの保護方針」の中に、OSECを盛り込む動きなどがあります。

チャイルド・ファンド・ジャパンでは、「子どもの保護」を活動の柱の1つとして位置づけていますが、OSECについても、現地スタッフへの研修を行うとともに、子どもたちや保護者へも、研修を行ったり、面会時に説明したりして、問題点や対策について伝えています。

先日スタッフに対して行った、SNSにおける個人情報の扱い方についての研修

コロナ禍における子どもの権利 ~ ネパール ~



ネパール事務所のテーマは、「子どもの権利」。教育や栄養・健康などに関する国や支援地域の状況、そして、コロナ禍における子どもの権利について解説してもらいました。

ネパールでは、この30年間で、妊産婦死亡率、初等教育就学率といった指標が大幅に改善されました。一方で、例えば、中等教育の入学率は2019年でも約66%で、およそ1/3の子どもたちが入学できていない状況にあります。支援地域であるシンドゥパルチョーク郡ではさらに低く59%となっています。(ネパール 女性・子ども・高齢者省の発表、チャイルド・ファンド・ジャパン ネパール事務所の調査より)女の子に対する教育が軽視される傾向にあることも大きな問題の1つです。

さらに、新型コロナウイルスの影響で、子どもたちは約8ヵ月にもおよぶ休校を経験しました。行政はオンラインによる教材提供も行っていますが、インターネットへのアクセスがなく利用できない子どもたちが大半で、子どもたちの教育に関する権利が大幅に侵害されました。

休校で子どもたちは長期間の家庭学習を強いられました

また、日々の新規感染者の情報を見聞きする子どもたちは、感染への不安と恐怖にさいなまれるとともに、休校によって孤独感を感じる場合も少なくありません。さらに、家で過ごす時間が増えたことで、子どもたちへの家庭内暴力のリスクが高まっています。

プレゼンテーションをしてくれたスタッフのクリシュナは「学校は子どもたちが学習する場であるとともに、安心・安全に過ごせる場所でもある」と、学校の重要性を語っていました。

チャイルド・ファンド・ジャパンでは、こうした子どもたちへ様々な形で支援を行っています。例えば、子どもたちの心のケアを行ったり、感染予防ポスターに相談窓口の電話番号を掲載したりするなどして、子どもたちをサポートしています。

変化の激しい時代に、子どもたちを守る

現在、子どもたちを取り巻く環境は大きく変化しています。インターネットやデジタルデバイスは日々進化し、それにともなって子どもたちへのリスクも日々変化し、また、増大しています。そして、パンデミックという未曽有の環境変化が、さらなる影響を子どもたちに与えています。

今回の学習会を通して、私たち東京事務所のスタッフも、あらためて現在の支援地域の状況を認識することができました。この変化の激しい状況の中、私たちスタッフも現地と連携を密にし、常に最新の情報を共有しながら、子どもたちの支援活動を行っていきたいと思います。