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混沌と喜びを肌で感じたネパール 【ネパール訪問の旅2018 訪問記 その2】


早田さんとチャイルドのラディカ

10月に実施した「ネパール訪問の旅2018~チャイルドに会いに行こう~」に参加した支援者の方々が寄せてくださった訪問記をご紹介しています。前回の?野俊樹さんの訪問記に続き、ネパールのチャイルドをご支援くださっている早田志津さんが、思い入れのある国であったネパールを訪問しての気持ちをつづってくださいました。

私が看護職を目指した動機は、高校生の時に岩村昇医師の記録映画を観たことです。岩村先生は1962年からネパールで伝染病の治療予防や栄養改善のために活躍され、「ネパールの赤ひげ」とも呼ばれた医師です。映画の内容はほとんど忘れてしまいましたが、「マヤ、お前の国はなんと貧しいのか?」という岩村先生の慈愛に満ちた語りが、悲しく、今でもはっきりと覚えています。

ネパールで大地震が起きた後、被災地域でスポンサーシップ・プログラムを開始するという案内がありました。これまで支援してきたフィリピンのチャイルドに加えて、ネパールのチャイルドも支援することにしました。ラディカというチャイルドを紹介され、写真を見ると素朴でかわいくて、嬉しく思いました。次の年にもらった成長記録の写真では少し大人になっていました。ラディカに会いたいということはもちろんですが、ネパールは看護職に就いたきっかけの地であるので、ぜひ行ってみたいと思い、訪問の旅に参加しました。


「訪問の旅」で訪れた支援地域の様子

実際にラディカに会えて、本当に嬉しく、感謝しています。支援しているチャイルドに会えることがこれほど嬉しいことだとは思いませんでした。学校に向かう道中、参加者の方が「会ったら泣いちゃうかもしれない!」と話されていて、私は冷静に聞いていたのですが、実際に会って、同じ気持ちになりました。ラディカは写真で見るよりも利発そうな子どもでした。ラディカがチャイルドを代表して日本からの参加者の前で堂々と歓迎のあいさつをした時にはとても誇りに思いました。けれど、2人で話した時には10歳の女の子らしく幼さが残り、恥ずかしそうにしてあまりおしゃべりはしてくれませんでした。初めて会う日本人の私にラディカが驚いてしまわないよう、小さい時から現在に至るまでの私の写真も持っていきました。私にもラディカのように無邪気に遊んだ子ども時代があり、就職し、結婚して、今あなたの目の前にいる私になったんだよと伝えられたらと思ったのです。もっと一緒に写真を見ながらお話していたいと思いましたが、ともに過ごした時間はあっという間でした。


歓迎のあいさつをするラディカ

今回ネパールに行くまで、ネパールのことをよく知りませんでした。もっと自然が多い国、貧しいけれど穏やかで温かい国、そしてもっとゆったりと時間が流れている国、というイメージでした。しかし、全然違いました。首都のカトマンズで行ったマーケットは、お祭り前ということもあり、たくさんの人と物で賑わっていました。人で混み合う道を、バイクが無秩序に走り抜けていきます。地形的問題、貧富の差など、国として発展していくにはかなり大変で、どこから手を付ければいいのか、どうにかなるのか、それすらも不透明なほどに混沌とした印象を受けて、少し絶望的な気分にもなりました。

首都のカトマンズに宿泊した次の日の朝、ホテルの近くの道で人々の様子を見ていました。向かい側の小さな店で、若い男性がトタン板を叩いてケースのようなものを作っていました。無表情に、トントンと叩く単調作業を続けていました。そのそばでもう一人の若者は携帯を見て、手伝うわけでもなく、座っていました(もちろん二人の関係は分かりません)。


大勢の人で賑わう、カトマンズのマーケット

岩村先生が活動を開始してから何十年、ネパールの人々は幸せになったのでしょうか?支援を受けて大きくなった子どもたちは、どんなふうにこの国で暮らしているのでしょうか?自分たちの幸せのために生きているのでしょうか?教育は非常に大事ですが、長い目で見て成果は出ているのでしょうか?活動は厳しく、結果の見えにくいものだと思いますが、希望はあるのでしょうか?その希望とはなんでしょうか?国の繁栄がもたらした負の影響を思うと、複雑な思いに駆られます。

「そんなこんな」を考える私は、またいつものように、堂々巡りをしています。でも、今回は単純に、「チャイルドに会えるチャイルド・ファンド・ジャパンを応援してください!」とまわりのみんなに言えそうです。帰国してからすぐにネパールで経験したことや感じたことなどをつづった手紙を友人や知人に送りました。私の手紙を受け取った方がスポンサーになってくれたことは喜びです。

これからのラディカとの文通が楽しみです。英語も書けるようになるだろうし、どんな女の子に育っていくのか、できれば再会の日があれば、もっと嬉しいかもしれません。

ネパールのスポンサーシップ・プログラムについて、詳しくはこちらから

「本当の豊かさを教えてくれた、チャイルドとの出会い 【ネパール訪問の旅2018 訪問記 その1】」はこちら!